1)知財戦略の考え方
1-1)KGI
・KGI 自社事業を守り同業界他社を圧倒し、活用シナリオを併せもった特許網の設計
1-2)知財開発のコンセプト=モデルベース知財開発
スタートアップは自社事業(提供プロダクト・技術開発含む)を守る為だけでなく、業界内の競合・後発・大手企業に対して他を圧倒する特許ポートフォリオ構築を実現することが必須です。体系的戦略的に「知財設計」し、その後出願権利化の「知財実装」へ至る知財開発プロセスが重要となります。その知財開発コンセプトをモデルベース知財開発といいます。
モデルベース知財開発とは、Model-Based知財開発合同会社 (MBIP) が提供する独自の知財戦略です。信頼性と安全を重視する航空機業界や自動車業界などで、複雑協調システムでも全仕様を抜け漏れなく品質保証する、近年最新手法MBSE (Model-Based Systems Engineering) の活用、および IP Strategy Board を軸とした手法のことをいいます。分析とシステム思考を重要視し、階層的に分析された仕様と知財を互いにリンクさせることによる網羅性と、一貫性の見える化を強みとしています。
図1 具体例:特許戦略の基盤IP Strategy Board,及び分析・戦略(優先・構築順、活用シナリオ)の配置
弊社顧客様(スタートアップ)のプロダクト群は、ハード・ソフト両方の仕様が協調するメカトロニクス製品であると共に、複数の既存の他社製品やモジュールをシステム機能の一部として組み込み活用する System of systems (複数のシステム群が統合されているシステム) が特徴ですので、弊社の提供するモデルベース知財開発を採用し、事業にも競合にも盤石な知財構築を行います。
1-3)アプローチ
1-3-1)知財開発の長期構想
弊社顧客様(スタートアップ)の知財開発の長期構想は、約3年間での段階進化です。第一に「全体ラフ構築」、第二に「網羅/集中」、第三に「強化(実装&市場反映)」と、各コンセプトも段階的に進化させる計画となっています。
図2 段階的特許網進化のコンセプト
中でも本事業の期間内で活動スコープとする第一の「全体ラフ構築」が、最も重要です。
1-3-2)本事業期間での進め方と成果物
本事業で採用したモデルベース知財開発プロセスは、各プロダクトに対して“技術の見える化→分析→戦略→特許ラインナップ設計”の順に進みます。成果物は「見える化」から「戦略」までが IP Strategy Board, 知財設計が出願企画表、知財実装が出願明細書となります。
図3 モデルベース知財開発の流れ
・成果物(KPI) 例
①特許戦略基盤『IP Strategy Board (Ver1(先行出願対応版)、Ver2(最終版))』
補足)他社分析結果も含む
②特許出願全体ラインナップ設計一覧『出願企画表(Ver1(先行出願対応版)、Ver2(最終版)』
出願案件数Min**~Max**件
③特許出願:『出願明細書』
※出願申請まで、登録は別
① IP Strategy Board
成果物一つ目の IP Strategy Board とは特許戦略の基盤であり、MBSE手法での各モデル群から IP Strategy Board がプロダクト毎に作成されます。自社と他社との特許網の位置づけとその活用戦略がこの上にて描かれます。具体例は図1を、アプローチの概念は図4を参照ください。
図4 MBSE 手法でのアプローチ
②出願企画表
成果物二つ目の出願企画表とは、プロダクト全体の特許網設計図に相当するものです。プロダクトを網羅する為の、個々の特許ラインナップが設計されます。さらに、表中には個々の出願ごとの出願明細書の要求仕様が示されます。なお、出願企画表と IP Strategy Board については、それぞれ先行出願対応版と最終版の2バージョンを作成します。まずは急ぎ出願に対応する為に「先行出願対応版」を作成し、次に最終的な検討精査と開発中での気づきである新要求や不具合、課題についても反映した「最終版」を作成します。最終版は長期戦略と全特許に関する要求仕様の位置づけの為、本事業期間完了以降も継続して活用することができます。
③出願明細書
成果物三つ目の出願明細書(目標**件)とは、出願企画表の内に示された個々の特許の要求仕様に従って作成され、特許庁への出願申請を実施するものです。
これらの “現状技術を守る・開発を先行して守る・他社を圧倒する” 方針で、弊社は期間内に特許網の設計を実現します。
2)支援スケジュール 例
チーム構成
大手製造業出身(自動車系、電機系)・スタートアップ(ソフトウェアサービス系、ロボティクス系)出身・スタートアップ経営幹部出身者で構成。
構成メンバーのキャリア
大手海外&国内知財部経験、大手研究開発エンジニア経験、大手量産開発PM経験。共同開発PM経験。スタートアップ知財部経験、スタートアップ開発経験、スタートアップ特化CIPO経験、MBSEマネジメント経験、ISO機能安全マネージャー経験、官公庁(特許庁・経産省・内閣府)知財有識者メンバー経験
構成メンバーの知財活用経歴
ライセンス許諾経験、係争勝利経験、知財による資金調達、共同開発交渉経験、提携交渉経験、発明表彰(国内・海外)多数
Chief Executive Officer(CEO)
General Manager
中畑 稔
横浜市立大学大学院修士課程修了(理学専攻 光学理論研究室)。
在学中に特許事務所に入所。
2012年弁理士資格取得。国内・外国実務に幅広く従事。
2013年 コロプラに入社。法務グループにて社内発明創出を仕組み化し特許出願件数を驚異的に増加させた功績により社内MVPにノミネート。知財グループを創設しマネージャーに就任。東証1部上場後に退職。
2016年 FiNCにSerise Bから参画、知財戦略室を創設し室長に就任。第三者割当増資による資金調達において多数の投資家からのデューデリジェンス対応を行う。
2017年 ドローンファンド投資先の知財支援を行うDRONE iPLABを設立(現任)、同年にエアロネクストをグループ化し同社取締役CIPOとして創業から5期まで貢献。
同年 多くのスタートアップを生き残らせることを理念とするOne ip弁理士法人を設立(現任)。同社におけるスタートアップ企業の累積支援社数は400社を超え、数々のIPO/M&A支援実績を残す。
2021年 One ip弁理士法人内にモデルベース知財開発コンサルティング部門を立ち上げ、DRONE iPLABを通してドローンファンドの投資先スタートアップを2年間支援。
その他、スタートアップ知財支援の有識者として、特許庁WG、産業構造審議会 特許制度小委員会委員(平成30年~)、内閣府知財推進局WG委員、他歴任。
2023年 社会課題を解決するスタートアップをより多く生き残らせるためにModel-based知財開発合同会社を共同創業し、現在に至る。
Chief Project Management Officer(CPMO)
MBSE Professional Engineer
Executive Consultant
横浜国立大学大学院修士課程修了(船舶海洋工学専攻 流体力学研究室)。
1999年 HONDA入社。
燃料電池車の研究初期から量産実用化まで18年間、システム制御設計&完成車評価部門にて開発に従事。
制御系ドメインエンジニアから全体システム検証責任者(制御仕様領域・品質保証試験領域・ISO機能安全領域)、管理職、部門マネジメントまで幅広く経験。
また社内初のMBD/MBSE(Model-based Systems Engineering)プロジェクトを起こし、MBSEの開発実務活用も豊富に経験する。
知財関連では、発明実績154件(登録)、米ベンチャー係争勝利(2社)の他、全所表彰受賞(1回)、室課Top表彰受賞(2回)、国内発明者ランキング7位(燃料電池システム部門)等の実績を残す。
2017年 産業用ドローン系スタートアップに入社。大企業との共同開発のプロジェクトマネージャーを兼任しつつ、MBSE活用した開発部門、知財部門など複数を立上げ、責任者として運営する。知財戦略と100件を超える特許網構築し、外部へライセンス許諾等の数々の知財活用実績を残す。自身の発明実績87件(登録.2023/4時点)
2021年 自身の大企業・スタートアップ双方でのMBSE現場活用経験を経て「モデルベース知財開発(Model-based IP Development)」を確立。
理念を「多くのスタートアップを生き残らせること」とするOne ip弁理士法人に共感して入社。同社内にモデルベース知財開発コンサルティング部門を立ち上げ、DRONE iPLABに出向。
2023年 出向期間終了後にOne ip弁理士法人からスピンアウトしてModel-based知財開発合同会社を共同創業し、現在に至る。
名古屋大学大学院修士課程修了(機械理工学専攻 ロボット工学研究室)
2006年日立製作所入社。
知財部門にて、約10年間、主に鉄道事業部門における開発成果の国内外の特許出願から権利化、他社特許対策等を含む知財業務全般に従事。
国内鉄道事業部門の知財担当チームのリーダーを経験し、その後3年間、Hitachi Europe Ltd.にて、英国の鉄道関連グループ企業内に初の知財部門を立ち上げる唯一の責任者まで幅広く経験。
2009年弁理士資格取得。
2019年 英国から帰国後、産業用ドローン系スタートアップに入社。知財マネージャーとして知財実務及び契約実務をマネジメントする。
5か所の特許事務所と連携構築を行い特許網構築に尽力、外部へライセンス許諾を契約、交渉面で支える。
第三者割当増資による資金調達において多数の投資家からのデューデリジェンス対応、提携候補企業への知財活用の推進等、数々の実績を残す。
2021年 理念を「多くのスタートアップを生き残らせること」とするOne ip弁理士法人に共感して入社。同社内にモデルベース知財開発コンサルティング部門を立ち上げ、DRONE iPLABに出向。外部知財専門家の立場で複数のスタートアップ企業に対する知財支援を行う。
2022年 特許庁「オープンイノベーション促進のためのモデル契約書広報戦略WG」メンバー就任。
2023年 出向期間終了後にOne ip弁理士法人からスピンアウトしてModel-based知財開発合同会社を共同創業し、現在に至る。